たくや先生の小規模校×集団づくりブログ

全校児童50人にも満たない小さな小学校に勤務しています。小規模校の良さや課題、おもしろさを通して、小学校の豊かな学びを考えていきます。

シリーズ「小規模校の強みから学びを考える」④ 小規模校を生かした取り組みって、何だろう

新年度が始まって1週間、子どもたちとの出会いは楽しめましたか?

 

私も小規模校とはいえ、子どもたちとの出会いは緊張しますし、気を遣います。

 

 

私は子どもたちがもっている意欲やエネルギーを生かしつつ、よそよそしさもうまく使いながら、子どもたちと一緒になって豊かな時間を作っていきたいと思います。

まだまだ5/200が終わっただけ。

すぐ息切れしないように、ゆっくり行きましょう。

 

 

 

 

さて、授業びらきも済んだところで、小規模校らしい取り組みってどんなものがあるのか、考えてみたいと思います。

 

 

ただ、先に言わせてください。

小規模校らしい取り組みを考えてみて、これらのことは

 

「小規模校のほうがハードルが低いだけで、やりようによっては大規模校でもできる」

 

と思いました。全ては私たちのさじ加減であり、やりようです。

 

 

 

 

 

「大規模校のほうが体験が豊か」幻想

 

小規模校ではよく

「ほかの学校でもやっている経験をさせなきゃ」

という話が出ます。

 

 

小規模校の先に待っているのは、大規模校・中規模校と中学校で一緒になる未来です。

中学校入学と同時に、今まで一緒だった友達と同じクラスになることはごく稀になり、知らない同級生の中で人間関係をつくっていかなければなりません。

 

 

ただ、それってそんなに憂慮すべきことですかね?

 

 

大規模校でだって密に関わってきた友達は一握りでしょうし、同じ学校だからって全員と仲がいいわけではなく、「知ってる」レベルの人のほうが多いと思います。

 

 

大規模校の経験のほうが豊かである

 

などというのは小規模校の教師の勝手な思い込みなのではないかと思います。

 

 

 

大規模校に寄せる取り組みばかりでなく、小規模校だからこそできる取り組みを積み重ねることで、十分に豊かな学びを実現できるのではないでしょうか。

 

 

 

 

大規模校では到底なしえない経験を、小規模校の強みを使って実現させる

 

さて、以前ブログにも書きましたが、私は小規模校の強みは

 

①子どもを見取る目が行き届く

②子どもの体験の密度が濃い

 

の2点にあると考えています。

 

 

 

その中でも、今日は子どもたちの体験活動に軸足を置いて話をしてみたいと思います。

 

 

 

 体験学習のフットワークが軽い!

 

人数が少ないので、動きは取りやすいです。

 

 

路線バスに乗っての社会科見学や、総合的な学習での川遊びがすぐにできます。

人数的な制約はほぼないと言えるでしょう。

 

また、町探検などのフィールドワークには何回も行けます。

大規模校ならPTAに引率を協力してもらって、班でフィールドワークを行うところですが、職員が2人いれば十分にフィールドワークができます。

 

理科の実験の様子や体育の作戦会議の様子など、グループの見取りもすぐにできます。

見取りについてはまた今度。

 

 

 

外部講師との関わりの密度の保証

 

私の学校では伝統芸能を総合的な学習の一環でやる機会があります。

上級生がすでにしっかりと踊ることができ、下級生にお手本を見せられるほど文化として根付いていればいいのですが、うちの学校は今年が初めての取り組み。

誰も踊ることができません。一からのスタートでした。

 

そこでゲストティーチャーとして招かれた保存会のみなさんにお手本を見せていただきながらやるのですが、20数名の子どもたちに対して毎回5~6人の保存会の方が来てくださいました。(多いときはもっと!)

 

お手本を見せる人が少なくても、子どもたちは近くでお手本を見ることができ、質問もその都度することができます。わかりやすく教えてくれるので、子どもたちも自然と前向きに練習に取り組んでいました。

(まあ、手取り足取り教えてもらえる環境だと、サボれませんもんね。)

 

 

 

また、国語や社会の調べ学習で地域の方にインタビューをするときには、テーマに応じたグループ編成をし、それらに応じて地域の方に入ってもらうようにしたところ、「質疑応答」だけでなく「まとめのポスター作り」にまで地域の方に入っていただけました。

わかりやすく教えてくれたこと、自分が興味をもったテーマの内容の質問に真剣に答えてくれたことがうれしかった様子でした。

 

 

何クラスもある大規模校で同じような状況を作り出すためには、ゲストティーチャーの頭数を増やす必要があります。お忙しい中都合をつけてくれる人がたくさんいればいいのですが、そんなに簡単にはいきません。

 

小規模校は外部との連携の密度が濃いと言えると思います。

 

 

異学年交流のハードルが低い!

 

 

みなさんの学校には、縦割り班活動がありますか。

1年生から6年生までが一緒のグループを作り、遊んだり活動したりする活動のことです。 

 

縦割り班活動のいいところは異なる学年が一緒に関われることですが、同時にリーダーの6年生に負担がかかりやすい側面もあります。子どもらしく、やんちゃな子が低学年にいると、上級生がお世話役をしなければならず、楽しめないことがあるからです。そういう困ったことを何でも6年生に任せず、「ミドルリーダー」として中学年を位置づけながら、いろんな関わり方ができる縦割り班活動が6年生にとってもストレスフリーです。

 

さて、ちょっと横道にそれましたが、そんな縦割り班に限らず、少人数だからこそできる異学年交流があります。

 

人数が少ないと、時間と場所の制約を受けにくいので、朝の会で違う学年と一緒に歌を歌ったり、よその学年の発表を10分だけ聞きに行ったりすることができます。

 

 

 

まとめ 柔軟でアクティブな教育ができる場、それが小規模校

 

より柔軟に、よりアクティブに活動を組み立てられるのが、小規模校の魅力なのかもしれません。

柔軟で、アクティブな教育活動を打ち出していく教師の背中を見ている子は必ずいます。

 

現在話し合い真っ最中の学級スローガンのグループ討論では、私の思いもよらないアイデアが出てきてうれしくなりました。

今日決定し、週末の授業参観までには形にしたいと思いますが、子どもたちが柔軟でアクティブだと、学校がより楽しくなります。

それが「主体的」であり、「公民的資質」とか「民主的な人づくり」なのかもしれませんね。

 

 

 

3行まとめ

小規模校では豊かな体験活動を保証することができる

外部講師や他の学年も巻き込みながら、いろんな立場の人と関わろう

柔軟でアクティブなことができる環境が小規模校にはある

 

 

だんだんと小規模校シリーズを超えたことも書いてみたくなってきました。

今日も一日、子どもの笑顔を見守りましょう!