たくや先生の小規模校×集団づくりブログ

全校児童50人にも満たない小さな小学校に勤務しています。小規模校の良さや課題、おもしろさを通して、小学校の豊かな学びを考えていきます。

4月 活動を通して観察を 学級びらきでスタートダッシュは「しない」

 

 

 

 

 

 

 

引き継ぎの内容に引っ張られず、目の前の子どもの姿を客観的に見よう 

 

 

前の記事でも書いたように、楽しい活動を通して担任と関係性を結ぶのは4月の大きなテーマでありやらなきゃいけないことです。それと同時に、大事なのは「観察」です。

 

まずは4月の出会いに際して、目の前の子どもたちや集団をよ~く観察します。

 

・やる気のある子は誰か、シラケている子は誰か

・友だちに働きかける子は誰か、受け身な子は誰か

・影響力のある子は誰か

・意見が割れたときにどんな解決のしかたをしているか

・弱い立場の子を助ける関係性があるか

 

などなど、見るべき視点はたくさんあります。

まだ関係性が結ばれていないので、出会ったばかりでキツイ指導をするのは待ちましょう。

小言の多い教師としてイメージが一瞬でつきます。

 

指導したくなってもしばらくはじっとがまんですよ!

 

学力や走力、ピアノが弾けるかどうかなど、引き継ぎではいろいろなことを言われますが、大切なのは言葉や文字に表れない部分だと思っています。

(今までに私が受けてきた引き継ぎはほぼほぼマイナス面ばかりの冷たい引き継ぎでした。「空気が読めない発言」は長所ですよね?まったく・・・)

 

先ほど述べたとおり、活動を通してみるべき視点はいくつもありますが、その中でも特に私が意識的に観察しているのは以下の3つです。

 

口火を切る子を見つけよう

 

何においてもやる気があることが第一です。

どんなに無鉄砲でも、勉強や運動ができなくても、そのエネルギーがあるだけでリーダーの素質アリです。

また、口火を切れる子は、「居場所」がきちんとあり、安心して過ごせる子が多いです。初めてのことにも果敢にチャレンジしていく姿勢を認めていくことで、失敗しても次がんばろうという前向きな文化が周りの子たちにも広がっていきます。

 

そういう子を探すために、実験のつもりでいろいろと活動を組んでいきましょう! 

 

 

 

 「誰か教科書一緒に取りに来てくれる?」などと立候補制の簡単な仕事を呼びかける

「班で一人お願いしたいんだけど」「これ配ってくれる人~?」などと、手を変え品を変えて簡単な仕事を振ります。

その中で「ありがとう」「やる気あって助かるなあ」と価値づけながら、そういった前向きな姿勢を認めていきます。

 

 

はじめは先生に好かれたい一心でやろうという子もいます。それでもいいです。

 

まずはやる気が一番素晴らしいことを伝え、活動をしていく中で、その「自分から」の中身を観察していきます。

一人の子の得意や不得意が見えてくることもあれば、どんな活動をしてもシーンとしている子の存在に気づいたりもします。

 

 

班で簡単な話し合いを設定する

私はどちらかというとこちらの方をよく見ています。

今度は対教師ではなく、対子どもの関係です。

 

「班で自己紹介をしてみよう。誰か言うことを2つと話す順番を決めてね」などと指示を出します。

すると、頼まれてもないのに「じゃあじゃんけんしよう」とか、「好きなテレビを言おう」と動き出す子がいます。そうした子を見つけます。

「仕切りたがり」も見方を変えれば「段取りを組める」という長所です。

 

 

もちろん煙たがる子もいますが、それは後々指導の中で改善させることができます。みんなが納得できる仕切り方を教えれば、水を得た魚のようにどんどん進めていけるでしょう。

 

でも、口火を切る勇気についてはなかなか変わるものではありません。

だからこそ、そうした子たちを見つけるために、班でのクイズや学びを設定し、価値づけていきましょう。

 

私は黒板の端にやることを書き、教室の角から全体的に眺めるようにしています。

困っている班には「順番決まらないの?じゃあじゃんけん!」「とりあえず好きな食べ物でいいよ。先生はカレーが好きだな」と見通しをもてるように簡単に指示を出し、盛り上がっている班には「何の話?」と声をかけながら、ひとところにかかりきりにならないようにしながら観察します。

 

 

影響力のある子を見つけよう

次はクラスの中で影響力のある子です。

教師が重宝するいわゆるリーダー性のある子も影響力がありますが、それとは別に、ボス的な影響力を発揮する子も見つけておきたいです。

ジャイアン的な子のイメージです。

安心・安全のためには見過ごすことのできない存在になっていきますが、その悪いところをガチンコで直そうというのではなく、がんばりどころを与え、人の役に立ったり、みんなが楽しむのに一役買う体験を通して、わがままで乱暴なレッテルを変えていきます。

 

「きれいなジャイアン」よりは「映画版ジャイアン」の方がしっくりきますかね?

 

外に出て遊んだり、おしゃべりしたりして子どもの世界をのぞく

 

子どもたちの素が出やすい場といえば、 何と言っても休み時間です。

トラブルが起こりやすいのもこの時間だと言えます。

 

その様子を見取りながら、影響力のある子を探します。

 

「先生も入れて!」と子どもたちの遊びの輪に入って一緒に遊んでいるとき、自分にだけバリアを張ったり、鬼のメンバーを仲良しのメンツで固めたがったり、鶴の一声で遊びを決めたりする子を見つけます。

 

また、ニンテンドースイッチのゲームで覇権を握っている子や、スポ少の競争の渦の中にいる子なども対話の中で「へー!」「そうなんだ!」「がんばってるねえ」とニコニコ聞きながらアンテナを張ります。 

 

 

乗り遅れている子を見つけよう 

 

 困り感を抱えている子がどのクラスにもいるものです。

そういった子に対しての手立てはタイミングを見て確実に打ち出す必要があります。

 

タイミング、と言ったのは最初からその子にかかりきりになるのは避けたいからです。

知り合いの先輩の先生で、4月は困っている子よりも先に普通の子たちと遊んで関係を作るという人がいました。

 

なぜかを聞いたら、ちゃんと理由がありました。

 

4月の最初から困っている子にかかりきりになると、他の多数派の子たちが「ぼくたちのことは見てくれない」と離れていってしまうからです。

4月のうちに関係を作り、5月からは困り感のある子の支援に回っていくと、案外多数派の子たちは平気なことが多いそうです。

 

とはいえ、そういった子が集団の中でどんな関わられ方をしているのかは見ておく必要があります。

すっかり下に見られてしまう前に、少しずつでも成功体験を積み重ね、よくない行動の割合を減らしていきたいからです。

 

そのためには、乗り遅れていく子がどんなタイミングで困るのかを実験を通して観察する必要があります。

 

指示の出し方を工夫して、より多くの子どもたちが参加できる手立てを実験する

 

基本は指示は一つずつです。

必要に応じて手順を黒板に書いたり、到達度をマグネットで示したりします。

 

そうした個別の作業についての乗り遅れは、教師の支援でうまくカバーしていきます。

 

 

問題は子どもたち同士の関わりの中での乗り遅れです。

 

友だちの話を全然聞いていない子

当てられてから話す内容を考え始めるような子

自分で自分のことを決められない子

 

そういった子たちを救い、安心と安全が保障される学びの場をつくるために、わたしたちができそうなことは何なのか、手立てをいくつも試していきます。

 

「今話していることはこれだよ(黒板を指さしながら)」

「順番に話すから、先に考える時間を取ります。必要なら簡単にメモをするといいよ」

「似ている考えも考えだよ。自分の言葉で言えたら立派な考えだ」

 

忘れてはいけないのは、そうした子たちに声を荒げることなく関わる姿を子どもたちに見せることと、そうした温かい関わり方をしている子を認めていくことです。

 

子どもたちがよそよそしいうちに、人権意識を守るという文化を少しずつ作っていきましょう!

 

 

長くなりましたが、4月は観察から始めるということを私は意識しています。

黄金の3日間という言葉を冠した書籍が書店にたくさん並ぶ季節がやってきます。

 

私も、黄金の3日間はあると思います。

ただ、そこで「力の指導」を展開し、「ナメラレナイキョウシ」としてのスタートを切るのではなく、ホッとする関係性作りから始めます。

その3日間に軸足を置きすぎるのではなく、もう少し長い目で、1年間を通して子どもたちの自治の力を育てていきたいと考えます。

 

 

 

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